作業内容
晩白柚が出来るまで


このページには晩白柚に関する一年間の作業を月ごとに表したものです。
都合上二月から始めさせていただきます。




剪定
剪定の目的は、木が大きくなりすぎるのを抑えるため。
風通しを良くし、光(光線)が木の中まで入りこむようにする。
隔年結果(年生り)を防ぐため。



ハウスのビニール張り

通常晩白柚の場合、トンネル栽培(雨よけ栽培)と言われハウスのサイド部分が地上から1メーター程開いています。
雨を避けて病気が入るのを防ぐのが目的です
加温するわけではありませんが(一部始めたところもありますが)、晴れて熱い時は45度にもなり、結果的に露地栽培より早くなります。



灌水

必要に応じて灌水をおこないます。
山に降った雨がミネラルを含み谷に流れ込みます。その水を32トンの貯水タンクに溜めて利用します。
一旦、灌水を始めると32トンの貯水タンクも2時間でカラッポになります。
一箇所に1時間ずつ灌水したとして、16か所に分けて灌水しなければならないので、一回の灌水に16時間、約256トンの水が必要になります。
日照りが続くと谷の水も枯れ、日本三大急流のひとつ球磨川の水を利用します。

摘蕾
晩白柚の花は白く、蕾でも大人の親指ほどもあります。
花には、一つの枝から葉っぱと花が一緒に出るもの〔伴葉花)と、花だけが出る(直花)とがあり、おもに実をつけるのに用いるのは伴葉花の方です。
木は花を咲かせるのに大変なエネルギーを使います。そのダメージを小さくするための作業です。
時期には、町中が甘い香りにつつまれます。

交配 (人工授粉)
晩白柚の良い実をつけるには、甘夏、八朔、ザボンなどの他種の花粉を交配します。
交配機の中には、花粉とピンク色の増量剤が入っていて、それをメシベに吹き付けます。
花の時期が3〜4週間と短いので、休んでる暇はありません。(ゴールデン ウィークは嫌いです)一つ一つが手作業で、気が遠くなる作業です。

摘果
摘蕾で3~4個にした花に房状の実をつけます。
養分を集中させるため、傷果や小玉果を取り除き、樹体にあわせて数を調整します。
袋付け
梅雨が終わるとハウスのビニールをはずします。
その前に、袋付けをします。
雨を防いで病気にかかりにくくしたり、害虫が傷を付けるのをふせいだり、直射日光で日焼けするのを防いだりするのが目的です。
除草その他
この時期は、わりと暇な頃になりやっと一息つけます。
その間に、除草をしたり、灌水をしたり、堆肥の材料を集めたり、晩白柚以外の手入れになります。



袋はずし

袋をはずすと、中から半分黄色くなった晩白柚が出てきます。
この時期から収穫まで約一ヶ月間、柔らかな陽射しを浴びて甘みを増し、まろやかな味と、豊富な果汁に仕上げます。
(他農家との差別化)
他農家は収穫直前まで袋とタイペックシート(見た目は画用紙、直射日光を防ぐシート)を掛けてあります。
日差しを浴びた(無袋)晩白柚が美味しいのは分かっています。しかし、袋付け作業で書いた様に袋を掛けない訳にはいけません。
それでも、少しでもお日様の光を当てやりたい。
そんな気持ちから、日差しが和らぐこの時期に袋をはずします。



収穫

収穫。 それはこれまでしてきたことの集大成。一年間してきた事が正しかったのか、どこかにミスがあったのか?どちらにしても、この時期に分かるのです。
いずれにしても、一番嬉しく活気ある時期なのです。

(他農家との差別化)
十一月下旬から収穫を始めるところもある様ですが、我が家では、原則としてハウス晩白柚の収穫を十二月十日と決めています。それは完熟収穫を目指しているからです。
(余談)
子供たちも、学校が終わると手伝ってくれます(自主的にとはいきませんが)。
いつだかは、夜の十時まで畑から運び出すのを手伝ってくれました。
その後は、妻と二人。運び終わったのは、夜中の二時でした。
子供たちが手伝ってくれなかったら、何時になっていたでしようか?
そんな親ですが・・・・。  子供たちに感謝。

 第一次 追熟 

(追塾とは)
その名の通り、追って熟する。
収穫された晩白柚も生きているのです。ちゃんと呼吸して美味しくなろうとするのです。

収穫した時の熟度により、晩白柚はしばらくビニールハウスの中で光と温度を加えます。
すると鮮やかな黄色になります。
(収穫のとき完熟している晩白柚は、そのまま出荷します)
 第二次 追熟

年を越して出荷する晩白柚は、写真のように一個づつポリの袋(ビニール袋は駄目です)に詰めて追熟し、皆様からの御注文を待っています。 
しばらく取っておきたい時は、このようにして暗くて涼しいところに置いてください。
不思議なもので、この期間に酸っぱさ(クエン酸)が少なくなり、甘味(糖度)が増します。
香りやみずみずしさは、そのままでマロヤカナな味になるのです。



     出荷

以上のような作業を終えて、いよいよ皆様のご家庭に届けられます。
前にも書いたように、晩白柚は生きています。ですからワックスはしません(皮膚呼吸を止めてしまいます)。タオルで軽く拭いただけです。


ジャンボなジャンボな晩白柚。
その大きさと、柑橘の味にビックリしてください。
皆様の家庭に一つの幸せをプレゼントすることができたら・・・・。

瀧川果樹園
  園主 瀧川明広
  妻     幸代